質問
個人事業主です。現在は中古車販売店を経営しています。
これから新たに霊柩車事業を始めようと思いますが、気を付けてる点などありますか?
回答
霊柩車事業を始める場合、もちろん許可が必要です。
人を運ぶことは旅客事業ですが、ご遺体はものとなり、貨物の許可が必要です。
一般貨物自動車運送事業の「霊柩車」の申請を提出することになります。
基本的な書類・添付書類はトラックのものと同じなります。
トラックとは何が違うのかを詳しく説明したいと思います。
① 車両は1台だけでもOK
一般貨物自動車運送事業は車両が5台以上必要ですが、霊柩車事業の場合は1台から申請可能です。
車検証上の用途欄が「貨物」となっていてる車両で、軽自動車は不可です。
② 運行管理者・整備管理者の資格不要?!
車両が5台未満であれば、運行管理者・整備管理者は資格不要で、選任のみで大丈夫です。
③ 霊柩事業は発着が必ず同一県内のみ
県外発着は不可です。
県外発着もお考えの方は、5台以上の霊柩車が必要となります。その際は要件が変わってくるので(運行管理者や整備管理者など)要注意です。
④ 人数は最低2人必要です。
運行管理者と運転手の方の2名が必要です。整備管理者はどちらか兼務できれば、最低人員は2名です。
申請書は行政のHPに掲載されていますのでダウンロードしましょう!
必要な施設
◇営業所 自宅でも可能です。
◇休憩施設(自宅の一室を営業所と休憩施設にすることも可能です。その場合、パーテーションなどの設置が必要となります)
◇車庫
車両の前後左右50cm以上確保されていることが必要です。
車庫から最初に通る公道の幅員証明を取得し、車両制限令も確認する必要があります。
月極駐車場の場合、契約書の他に入り口から駐車スペースまでの通行を通行許可書も所有者からもらう必要があります。
霊柩車を止めるに際して近隣から苦情が来た場合の対策方法を行政から尋ねられる場合があります。
※営業所、休憩施設、車庫ともに農地法や都市計画法を必ず確認してください。
◇車両
車検証上の種類が「霊柩車」を記載のある車両1台以上必要です。
資金
給与や燃料費などの運転資金6か月分、事務所・車庫・車両・保険関係1年分を運転資金として、それらの合計金額以上の残高証明書が必要です。(提出は2回必要です。)
必要な資格
・運転免許
※人ではなくご遺体なので、第二種免許の取得も不要です。
・車両が5台未満であれば、運行管理者・整備管理者の資格は不要です。
申請に必要な費用
・登録免許税120,000円
・幅員証明代(自治体によって異なります)
・施設を所有されていれば登記簿謄本代
※上記の他に運転資金や営業所・車庫・車両等の資金が必要です。
許可までの期間
◇標準処理期間は3~5か月です。
申請書を提出してから許可となる期間です。
申請までの情報収集や書類作成、緑ナンバーの手続き期間も別途かかります。
法令試験
◇申請提出すると個人事業主の場合は本人が受験します。
申請前ではなく、申請後に通知が届き、受験することになります。
1度落ちても再受験可能です。
2回落ちると取下げとなり、再提出は可能です。
許可後には何をしたらいいのか?
許可の連絡が来て後に、直接、行政へ許可証の受領に行きます。
その際に今後、何の手続きするのか、営業を開始するに際し必要な帳票類の一覧などの手引きのようなものをもらえます。
よくご覧になって事前に準備しましょう。
おおまかに手続きです。
① 緑ナンバー切り替え(連絡書の発行)
② 運行管理者・整備管理者の選任届
③ 運輸開始届の提出(営業開始後)
その際に社会保険の加入の証明、保険加入の証明等の添付必要です。
④ 運賃料金設定の届出(営業開始後)
霊柩車事業の申請の難しい点
車両は1台から申請は可能ですが、作成書類・必要書類はトラック運送事業と同じです。
写真撮影や地図の準備、資金の内訳の計算、自動車税等の確認が必要です。
ちなみに自動車税は税事務所に電話すると確認し、車両に係る税金をすべて教えてもらえます。その際に車検証が手元にあるいいですよ!