質問:新潟市内の運送業者(個人事業主)
個人事業主として、軽トラック1台を用意し、運送業を始めたいと考えています。車両以外に用意が必要なものや手続き方法を教えて下さい。
軽トラックを含む軽自動車または125CC以上のバイクを使用して、有償で荷物を運送する事業のことを「貨物軽自動車運送事業」といいます。貨物軽自動車運送事業を始める場合は、管轄の運輸局へ届出をし、黒ナンバーの取得が必要となります。
車両以外には、営業所、休憩・睡眠施設、車庫が必要となります。
ご自宅を営業所、休憩・睡眠施設とすることも可能です。車庫は、原則として、併設するのが望ましいですが、併設できない場合は、2km以内に設置する必要があります。それでは、手続き方法について詳しくご説明させていただきます。
貨物軽自動車運送事業のおおまかな手続き方法
おおまかな手続きのながれですが、
①管轄の運輸支局へ「軽自動車運送事業経営届出書」と添付資料を提出する
②事業用自動車等連絡書の発行を受ける
③軽自動車検査協会で手続きを行う
となります。届け出、各種開業届や車両の登録手続きに不備がなく、黒ナンバーの取得から取り付けまでをスムーズに行うことができれば、最短1日で開業することができます。
貨物軽自動車運送事業の詳しい要件・手続き方法
詳しい、要件や手続き方法を説明します。
貨物軽自動車運送事業の許可の取得には、営業所、休眠施設、車庫などの要件を満たす必要があります。
これらの許可要件について、順に見ていきましょう。
1. 営業所
① 使用権原
使用権限は、申請者にありますか?特に、賃貸借契約書等の添付書類は、不要ですが、使用権原がある旨を宣誓します。
個人で開業する方のほとんどが自宅です。
② 立地条件
営業所に関する2つめの要件は、各種の法律上、その営業所の場所で貨物軽自動車運送事業を行うことが許されていることです。
より具体的には、都市計画法、農地法、建築基準法及び消防法その他関係法令に抵触しないことが求められます。また、軽自動車運送事業経営届出書ではその旨の宣誓書の提出が必要になります。
それぞれ、確認する必要がある法律の一部を見ていきましょう。
都市計画法
市街化を抑制する地域「市街化調整区域」は原則設置不可です。
一方、市街化区域は、都市計画法に基づき、都市を住宅地、商業地、工業地など13種類に区分し、これを「用途地域」として定めています。
まずは、営業所についてです。
例えば、用途地域が、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域(床面積1,500㎡超、3階以上は不可)は認められないことが多いでしょう。
上記の地域であっても、兼用住宅(事務所部分が50㎡以下かつ、建築物延べ床面積の1/2未満の場合)、昔からその場所で事業をされていた場合は可能な場合もあります。
また、第二種中高層住居専用地域では、3階以上の建物であっても事務所が2階以下にありかつ1500㎡以下であれば可能です。
用途地域は、市町村のサイトで用途地域マップが公開されています。
ご自身で、インターネットで調べた上で、各自自体に確認しましょう。
農地法
・土地の登記上の地目が「田」「畑」でないかを確認する必要があります。土地選びでよく問題になるのが、この農地法です。
「田」「畑」であれば、土地の所有者の許可を得て、「農地転用」の手続き、「地目変更」が必要です。
2.休憩・睡眠施設
営業所と同じで適切な使用権原・立地条件が求められます。営業所または車庫に併設または隣接し、睡眠を与える場合は、少なくとも同時睡眠者1人当たり、2.5㎡以上の広さを有することが必要です。
3.車庫
続いて、車庫の要件です。
まず、車庫は営業所に併設されるご予定でしょうか。
原則として、併設するのが望ましいですが、併設できない場合は、2km以内に設置しましょう。
また、使用権限、立地条件等は営業所と同条件となります。ちなみに、立地条件は、屋根付の車庫の場合、市街化調整区域は建物を建ててはいけない地域なので、不可となります。
無蓋車庫(屋根のない車庫)であれば、建築物ではないので、市街化調整区域であっても市街化区域であっても設置可能です。
その上で確認しておきたいのは収容能力についてです。
収容能力
車両がただ停められるだけでは、要件には該当しません。
他の用途に使用される部分と明確に区画されており、敷地内における車両の通行に支障がないこと・駐車スペースに物を置いたり、他の用途に使用しないことが条件となります。
4.車両
続いて、車両の要件です。
軽貨物車1台以上が必要です。(軽自動車、オートバイ125cc超の軽二輪、小型二輪車など)
車検証上の用途が「貨物」となっていることが条件です。
5.運行管理体制
運行管理者の資格は不要ですが、運行管理責任者を選任する必要があります。
過労運転、過積載の防止、安全運行の確保等、事業の適正な運営のための管理体制を確保する必要があります。ドライバーと兼務可能です。
整備管理者は、営業所に配置する軽貨物車が10台以上の場合は、整備管理者の選任が必要になります。
6.約款
国土交通大臣が告示した標準約款に準じて運送約款を作成してください。 「標準約款」と同一のものを設定することもできます。
7. 損害賠償能力
自動車損害賠償保障法等に基づく責任保険または責任救済に加入する計画のほか、自賠責保険や自動車任意保険に加入し、十分な損害賠償能力を有することが必要です。
貨物軽自動車運送事業のおおまかな流れの復習
再度、おおまかな流れを確認しましょう。
1. 運輸支局へ「軽自動車運送事業経営届出書」及び添付書類(事業用自動車等連絡書等)を提出します。
2. 事業用自動車等連絡書を受領します。窓口の混雑状況にもよりますが、
その場で事業用自動車等連絡書を発行してもらえます。
3. 軽自動車検査協会で営業用ナンバーをつけます。
運輸支局の手続きを受けたあと、発行を受けた事業用自動車等連絡書を添付して、軽自動車検査協会で車検証・ナンバープレートの発行を受けてください。
※車両の登録手続きや黒ナンバーの取得の必要書類については、軽自動車検査協会に確認ください。
貨物軽自動車運送事業の提出書類
車検証のコピー以外の書類は、新潟運輸支局のホームページよりダウンロードすることができます。見本もダウンロードできるので、記載例を確認しながら、作成しましょう。
1.軽自動車運送事業経営届出書
2.運賃料金設定届出書
3.運賃料金表
4.事業用自動車連絡書 1両につき1枚
5.車検証の写し(新車の場合は、完成検査証の写し)
貨物軽自動車運送事業の必要書類
貨物軽自動車運送事業の届出手続きの費用は無料です。自動車の登録手続きや黒ナンバーの取得に別途費用が発生します。