新潟県外で一般貨物自動車運送事業を営んでいる会社です。
今回、新潟にある車庫が狭くなってきたので、車庫を増やそうと思っています。もう現在の車庫の面積は増やすことは出来ないので、今回は車庫を別で増やしたいと考えています。
必要な手続きや手続きにかかる期間、手続きの際に注意するポイントも併せて教えていただきたいです。
また、増やす車庫ですが、今後のことも考えて2か所増やしたいと思っているのですが、こちらは問題はないでしょうか。
既に営業所・車庫を持っている運送会社が、車庫のみを増やす場合は、その営業所を管轄する運輸支局へ車庫増設の認可申請をする必要があります。営業所1ヶ所に車庫は1ヶ所のみでなく、2ヶ所3カ所あっても問題ありません。
このお手続きに必要となる期間はスムーズに進んだ場合、1カ月ほどかかることになります。
車庫を増設する場合、いくつか注意しておきたいポイントがありますので、順に説明します。
運送業の車庫増設に必要な行政手続き
おおまかな流れですが、手続きは
- 営業所から車庫までの距離の確認
- 地目の確認
- 幅員証明の取得
- 写真撮影
- 測量
- 申請書の作成等
といったような内容ですすめていくことになります。(今回は屋根等がない駐車場の場合でご説明してます)
営業所から車庫までの距離の確認
営業所から車庫までの距離というのは、営業所から車庫までは新潟ですと5キロメートル以内というルールがあります。この5キロメートルというのは、走行距離ではなく、直接距離で計算します。グーグルマップやマピオンのキョリ測などで測ることが出来ます。
地目の確認
地目の確認ですが、登記上の地目が「田・畑」ですと認められません。実際が「田・畑」でない場合であっても、謄本を取得し確認することが必要です。
もし、「田・畑」であった場合、地目変更登記が必要です。土地家屋調査士へ相談すると良いでしょう。
幅員証明の取得
幅員証明の取得というのは、車庫から車両が出た際に最初に通る公道の証明が必要です。
市町村道なら各市町村
県道であれば県
国道は幅員証明の取得が不要となってますので、取得しなくても大丈夫です。
注意してもらいたいことは、車庫から公道に出るまでに私道がある場合もあります。その際は所有者の方より、通行承諾書に署名押印頂くことが必要です。所有者が複数人いる場合は全員から通行承諾書頂く必要があります。その方が県外住んでいる場合、亡くなられていて相続手続きがされていない場合は時間がかかります。
写真撮影
写真撮影では、駐車場の全景と四方向より撮影します。
写真については行政から補正を求められると手続きに余計な手間・日数がかかってしまいます。車両等がない状態で撮影することが望ましいです。
測量
測量ですが、車庫の測量を行います。
車庫は他の用途に使用できません。例えば、従業員の自家用車や物が置いてあるスペースは車庫として認められません。運送業の車両のみを置くスペースを測量し、求積図を作成します。手書きでも大丈夫です。
車両の前後左右50センチ以上の間隔ができるように配置を考えましょう。
図面上に車両の予定配置を記載するとより良いと思います。
申請書の作成等
申請書作成ですが、行政のホームページに書式があります。
添付する書類も掲載してますので、確認下さい。行政の方が見てわかりやすいように、作成します。
車庫が賃貸借契約の場合、①事業用である②賃貸借期間が2年以上(2年未満の場合は自動更新の記載)ということが重要です。
もし契約書が上記の内容でない場合は、別途使用承諾書を作成し、所有者の方より、署名押印を頂きましょう。
書類の中に案内図、見取り図、平面(求積図)とあります。
案内図 → 住宅地図(グーグル等の地図でも可)
見取り図 → 案内図より拡大された地図
平面求積図 → 測量された数値の入った図
上記の参考にご用意ください。
運送業の車庫増設の申請窓口と審査期間
申請書を行政(新潟の場合は新潟運輸支局(2F 輸送監査部門)へ提出致します。
作成は正本1部とその写し1部の2部提出です。
その場で簡単に書類の不足など確認してもらえます。確認してもらえると受付印を押し、写しの1部を返してもらえます。
そこから審査スタートです。認可までおおよそ1~3カ月かかります。
認可までの間に補正があれば、その連絡から審査はストップし、認可まで期間は延びます。
認可は電話連絡が来て、認可証が発行されます。
認可されれば、車庫として認められたので、車両を置くことが可能となります。
認可証は窓口で受け取り、もしくは事前に返信用封筒を渡しておくと郵送もしてもらえます。
以上のように、これから運送業の車庫を増設する場合、駐車可能となるまで2カ月の期間を要することになります。
運送業の車庫増設に関して申請前に確認しておきたいこと
ちなみに・・・
車庫増設の際、以下ア~カの事項に反する項目がひとつでもある方は申請することが出来ません。
必要な要件
ア.申請日前6ヶ月間(悪質な違反の場合は1年間)または申請日以降に、貨物自動車運送事業法または道路運送法の違反がないこと。
イ.申請日前3ヶ月間または申請日以降に、申請に係る営業所が巡回指導による「E」の評価を受けた者でないこと。
ウ.申請日前3ヶ月間または申請日以降に、当該申請に係る営業所に関して、自らの責による重大事故を発生させていないこと。
エ.営業所に配置している事業用自動車について、有効な自動車検査証の交付を受けていること。
オ.事業報告書、事業実績報告書及び運賃・料金の届出並びにその他の報告の徴収 について、届出・報告義務違反がないこと。
カ.運賃と運送の役務以外の役務または特別に生ずる費用にかかる料金を区分して収受する旨が明確に定められている運送約款を使用していること。
その他の確認事項
前面道路が車両の通行が可能であっても幅員証明書を取得したら不足していることや、コンクリート整地されているが地目が田・畑であることもあります。車庫として使用できない・別の手続きにより遅延するケースがありますので、ご注意ください。
車庫の増設では、所有されている土地を利用するより、賃貸で探す方が多くいらしゃいます。
自社で手続き進めていただく場合は、車庫で確認するポイントを押さえながら、別の手続きが必要無いかなども気を付けて、余裕あるスケジュールで進めていくようにしましょう。