こんにちは。
現在、割烹を営んでいます。法事等でご注文いただく仕出し弁当が主力だったのですが、それだけでは売上が伸び悩んでしまっているので、関係のある事業も少しずつやっていかないとと思い霊柩運送事業に参入したいと考えています。
許可が必要だと聞いたのですが、いかんせん、専門外ですので、色々教えて頂きたいです。
私共でお手伝いさせて頂きますね。まず、霊柩運送事業をするには、実はトラック運送業などと同じ【一般貨物自動車運送事業】の許可が必要になるんです。
そうなんですね。許可を取る手続きも色々あるとは思うのですが、まずは霊柩車としてどのような車両を用意すればいいのだろうかと悩んでいるんです。許可を取るにあたって、どのような車両がお勧めでしょうか。要件などはありますか。
まず、霊柩車の構造的な要件として、専門的な言葉で恐縮なのですが、『専ら柩又は遺体を運搬するために使用する自動車であって、柩又は遺体を収容するための担架を収納する専用の場所(長さ1.8m以上、幅0.5m以上、高さ0.5m以上)を有しており、かつ、柩又は担架を確実に固定できる装置を有するものをいう。』と法律に明記されています。
とは言ってもそれほど難しく考える必要はなく、“霊柩車”として既に販売されているのがあるので、それを購入すればほとんどの場合では問題ありません。勿論、中古もありますよ。
“霊柩車”として販売されているものであれば一番確実ですね。
一般的には豪華な装飾が施されている“宮型霊柩車”というものがイメージされるかと思いますが、今は費用が掛からず、直接葬儀を連想させない“洋型霊柩車”といわれる高級感の感じられるリムジン型も多いです。
確かに。昔からある“いかにも”な車は殆ど見かけなくなりましたよね。昔は『霊柩車を見たら親指を隠す』なんて言われていましたが、最近は分かり辛くなりましたね。
特に最近では、エスティマやアルファードといったミニバンを改造した“バン型霊柩車”が増えてきていますね。主流といっても良いでしょう。
霊柩車と搬送車、どちらにも見えますし、実際そのように使える点が喜ばれています。
“宮型霊柩車”は「いかにも」感が強いので周囲から通行の同意が得られず、出入りできないケースも増えているんですよ。
やはりそうですか。今時は“洋型霊柩車”か“バン型霊柩車”の二択ですかね。
霊柩車は種類によって運賃が異なるのですが、洋型はミニバンタイプに比べて3倍くらい高い傾向にあります。(宮型と洋型は特別車、バン型とバス型は普通車)
なので、家族葬など小規模な葬儀が増えるなか、安いミニバンタイプの霊柩車を使って葬儀コストを下げる傾向があります。
では、ミニバンタイプで検討したいと思います。決まったらすぐにお伝えしますね。ちなみに、霊柩車の運転に二種免許は必要なのでしょうか。
結論から申し上げれば基本的には不要です。人を乗せて運賃をもらうために必要な二種免許ですが、実は民法上の規定で、「人」は亡くなると「物」に扱いが変わってしまうことから二種免許は不要なんです。
ご遺体が単なる「物」と言われてしまうと感情的にはなかなか割り切れない部分もあるのですが、あくまでも法律上では“貨物”と区分されるため、一般的な霊柩車の運転自体は、有償で旅客を運ぶために必要な第二種運転免許ではなく、第一種運転免許で可能です。
では普通の免許なら従業員のほとんどが所持しているので全く問題ないですね。
ただし、バス型霊柩車の運転には二種免許が必要な場合があります。
有償でバス型霊柩車に遺族を乗せる場合には、一種免許ではなく二種免許が必要となり、所持していなければ無免許運転となってしまいます。
バス型霊柩車であっても、無償で運転する場合や、遺族などを乗せずにご遺体のみを載せているのであれば、二種免許は不要で一種免許で運転することができるのですが…。
なるほど。割烹を営んでいるので、小型バスは既にあり、二種免許を所有しているスタッフもおります。一緒にご遺族の方も一緒に乗せる事を考えるとバス型の霊柩車も考えてみる余地がありますね。
もし有料でご遺族も一緒に乗せる場合は【一般旅客自動車運送事業】という別の許可も必要になりますのでご注意下さいね。
そこでも許可が必要になるんですね。
はい。家族葬や密葬、直葬が増えているとはいえ、田舎の方では大人数での移動がまだまだ必要です。特に冬の時期雪が降ると、とても重宝されますし、家族・親族と故人が一緒に移動することができるバス型霊柩車は強みになることもありますので、要件が満たせるのであれば許可取得を目指してみてはいかがでしょうか。
ありがとうございました。まずは車からもう一度よく検討したいと思います。
※事業や周辺(駐車場や会社)の状況、そして情勢に合わせて車両をご検討いただくと良いでしょう。