レンタカー事業について専門家が徹底解説

この記事では、レンタカー事業を行うときに守らなければならないルールなどについて、行政手続きの専門家である行政書士が詳しく解説します。

レンタカーの車検期間

レンタカーとして使用する車は、一般の自家用車と車検期間が違うということをご存じでしょうか。

不特定多数の方が対価を支払って使用するレンタカーは、整備についても高い水準が求められ、自家用車と比較して車検期間が短くなります。これからレンタカー事業を始める方は、予想以上に費用がかかることになりますので、資金面でも注意が必要になります。

新車の場合

対象車種 車検の有効期間 備考
初回 2回目以降
乗    用 普通・小型 2年 1年
2年 2年
三輪 2年 1年
二  輪 小型 2年 1年 250ccを超えるオートバイ(三輪を含む)
検査対象外軽自動車 なし なし 250cc以下のオートバイ(三輪を含む)
貨   物 車両総重量 8t以上 1年 1年 トラック(三輪含)
車両総重量 8t未満 2年 1年
2年 2年

 

中古車の場合

普通車

  • 車検期間:残1年以上 ⇒ 1年に短縮
  • 車検期間:残1年未満 ⇒ そのまま

軽自動車

車検期間残期間にかかわらずそのまま

法定点検

自家用車の場合は、1年毎、2年毎(車検)となっていますが、レンタカーの場合は、さらに厳しい期間が規定されています。

  • 乗用車   6か月毎22項目 12か月毎83項目
  • 乗用車以外 3か月毎50項目 6か月毎100項目

レンタカーは、自家用車と比較して、メンテナンス等の費用や頻度が厳しくなります。資金計画には十分な注意が必要になります。

レンタカー事業の整備管理者

レンタカー事業を行うにあたり、自動車の台数や種類によっては、「整備管理者」をおく必要があります。

例えば、自動車の保有台数が3台のレンタカー事業者と20台のレンタカー事業者では、同じように1台あたりの点検整備ができるでしょうか。また、大型車が整備不良で事故を起こした場合、小型車と比べて被害が大きくなることが予想されます。

よって以下のように整備管理者を選任する基準が定められています。

  • バス(乗車定員11人以上の自動車):1台以上
  • 大型トラック等(車両総重量8トン以上):5台以上
  • その他の自動車:10台以上

整備管理者の要件

整備管理者となるには、2つの方法があります。

実務経験+研修

整備管理者となるための方法のひとつ目は以下の要件を満たすことです。

「整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車の点検若しくは整備又は整備の管理に関する2年以上の実務経験を有し、かつ、地方運輸局長が行う研修を修了した者であること」

要するに自動車の点検整備の実務経験2年+研修ということになります。

「整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車」とは、

  •  二輪自動車以外
  •  二輪自動車

の2種類です。

「点検又は整備に関する実務経験」とは、以下のものをいいます。

  • 整備工場、特定給油所等における整備要員として点検・整備業務を行った経験(工員として実際に手を下して作業を行った経験の他に技術上の指導監督的な業務の経験を含む。)
  • 自動車運送事業者の整備実施担当者として点検・整備業務を行った経験

「整備の管理に関する実務経験」とは、以下のものをいいます。

ⅰ 整備管理者の経験

ⅱ 整備管理者の補助者(代務者)として車両管理業務を行った経験

ⅲ 整備責任者として車両管理業務を行った経験

資格(自動車整備士技能検定)

整備管理者になる方法のふたつ目は、一級、二級または三級の自動車整備士技能検定に合格した者であることです。

この自動車整備士技能検定の合格者は、選任前研修の修了の必要はありません。

外部委託

レンタカー事業の場合、管理体制が以下の全ての条件に適合する場合に整備管理者の外部委託が認められます。

  • 兼職する業務内容が整備管理規程等により明確であり、かつ、兼職することについて雇用者又は事業場責任者が承認していること。
  • 兼職に係わる事業者間の距離が、それぞれの業務を行うに支障とならないこと。
  • 整備管理者が外部委託されている場合には、道路運送車両法施行規則第32条に定める業務のうち運行可否の決定、定期点検整備の実施の計画の策定、定期点検整備記録簿等の管理、自動車車庫の管理並びに運転者等に対する指導監督について整備管理者を補助し、連携して車両管理を行う、自企業の所属職員による整備責任者を設けていること。
  • 整備管理者が外部委託されている場合には、委託先の事業主との間に取り交わされた業務委託の内容、責任等の内容が整備管理規程に明文化されていること。

レンタカー事業の許可後の義務

<報告義務>

貸渡実績報告書

会社の事業年度ではなく毎年4月1日から翌3月31日までの実績を報告します。

事務所別車種別配置車両数一覧表

前年度の6月30日、9月30日、12月31日及び3月31日における配置車両数を報告します。

上記「貸渡実績報告書」「事務所別車種別配置車両数一覧表」については、毎年5月31日までに主たる事務所の 所在地を管轄する運輸支局長あて提出しなければなりません。

<掲示義務>

貸渡しに附随した運転者の労務供給(運転者の紹介及びあっせんを含む。)を行ってはならない旨を下記のいずれかの方法により借受人に対して明示しなければなりません。

  • 事務所において公衆の見やすいように掲示(ディスプレイ等の電子機器に表示させることを含む。)
  • ウェブサイト等において公衆の見やすいように掲載
  • 書面(電子メール等の電磁的方法を含む。)の提示

貸渡料金及び貸渡約款は、下記のいずれかの方法により借受人に対して明示しなければなりません。

  • 事務所において公衆の見やすいように掲示(ディスプレイ等の電子機器に表示させることを含む。)
  • ウェブサイト等において公衆の見やすいように掲載
  • 書面(電子メール等の電磁的方法を含む。)の提示事務所において公衆の見やすいように掲示しなければなりません。

<交付義務>

借受人には、下記の事項を記載した貸渡証を交付し、貸渡自動車の運転者にこれを携行するように指示しなければなりません。

    • 借受人の氏名又は名称及び住所
    • 運転者の氏名、住所、運転免許の種類及び運転免許証の番号
    • 貸渡自動車の登録番号又は車両番号
    • 貸渡日時及び時間
    • 貸渡事務所、返還事務所
    • 貸渡人の氏名又は名称及び住所
    • 次の遵守事項
      • 「運行中必ず携帯し、警察官又は地方運輸局若しくは運輸支局の職員の請求があったときは、呈示しなければならない」旨の記載
      • 「自動車の借受けに付随して、貸渡人から運転者の労務供給(運転者の紹介及び斡旋を含む。)を受けることができない」旨の記載
      • 貸渡自動車に係る事故及び故障等が発生した場合の処置(処置方法、連絡先等)に関する記載
      • 「貸渡期間が2日以上となる場合には、日常点検を借受人が実施することとなる」旨の記載

<記録保存義務>

下記の事項を記載した貸渡簿を備え、貸渡しの状況を的確に記録し、2年間以上保存しなければならない。

  • 借受人の氏名又は名称及び住所
  • 運転者の氏名、住所、運転免許の種類及び運転免許証の番号
  • 貸渡自動車の登録番号又は車両番号
  • 貸渡日時及び時間
  • 貸渡事務所、返還事務所
  • 運行区間又は行先及び利用者人数並びに使用目的(自家用マイクロバスの貸渡しを行う場合に限る。)
  • 走行キロ数
  • 貸渡料金
  • 事故に関する事項

レンタカー 変更届

レンタカー事業の許可取得後、一定の場合に届出が必要になります。

変更する前に事前に届出が必要な場合

  • 事務所の名称変更
  • 事務所の所在地の変更(増設含む)
  • 増車(マイクロバスのみ)
  • 代替え(種別変更ありのマイクロバスのみ)

変更後遅滞なく届出が必要な場合

  • 貸渡人の氏名又は名称及び住所
  • 法人の役員
  • 貸渡料金及び貸渡約款
  • 貸渡しの廃止

添付書類

  • 法人の役員を追加する場合 欠格事由に該当しない旨の宣誓書
  • 貸渡料金・貸渡約款の変更 変更後の貸渡料金・貸渡約款

レンタカー事業者の禁止事項

<労務供給の禁止>

運転者の労務供給等について

レンタカー事業者は、貸渡しに附随した運転者の労務供給(運転者の紹介及びあっせんを含む。)を行うことが禁止されています。

運転者に関する情報提供について

  • 特定の運転者に関する情報提供を行うことはできません。
  • 運転者の手配については、レンタカーの借受人が自らの責任において行い、次のとおり取り扱う。
    • 運転者に関する情報提供にあたっては、貸渡しを行う車両の運転に必要な種類の運転免許を保持する複数の運転者の連絡先等の情報を提供するものとし、特定の運転者又は自社系列の運転者のみの情報を提供するものであってはならない。
    • レンタカー事業者が運転者に関する情報を提供する場合は、借受人に対して、次の事項を告知することとし、レンタカー事業者が自ら当該情報提供を行う運転者と派遣契約等を行ってはならない。
      • 運転者に関する情報はあくまで借受人からの申出に基づき、レンタカー事業者が任意で提供するものであること。
      • 借受人が自らの責任で情報提供を受けた運転者の中から手配を行う運転者を選択し、その契約を締結すること。
      • レンタカー事業者は、情報提供を行った運転者に関する責任は一切負わないこと。
    • レンタカー事業者が運転者に関する情報を提供する場合は、借受人から運転者に関する情報提供の依頼があった場合に、当該地域における運転者一覧表を提示して行うこととし、運転者の情報提供に関する宣伝活動を行ってはならない。

レンタカー事業の貸渡約款

約款とはどういうものでしょうか?

契約書が「個別の相手に対し、具体的な取引内容を決める」というものであることに対し、約款とは「不特定多数の相手方との取引のため、あらかじめ定められた契約条項」です。

貸渡約款は、下記のいずれかの方法により借受人に対して明示しなければなりません。

  • 事務所において公衆の見やすいように掲示(ディスプレイ等の電子機器に表示させることを含む。)
  • ウェブサイト等において公衆の見やすいように掲載
  • 書面(電子メール等の電磁的方法を含む。)の提示事務所において公衆の見やすいように掲示しなければなりません。

この約款は、利用者の方とのトラブルを防止するため内容は非常に重要になります。また、申請にあたり、この約款の作成に一番時間を費やすことになるのではないでしょうか。

インターネットを検索してみると他社の約款を見ることができますので参考になると思いますが、何も検討せずそのまま利用するとあなたの会社の実態と合わない内容になってしまう可能性があるので、十分注意してください。

 

繰り返しになりますが、この約款が重要であり、時間がかかります。レンタカー業許可の手続きを含め、専門家に依頼することもご検討ください。

レンタカー事業は、古物商の許可が必要?

レンタカー事業を行う場合に、注意しなければならないのが、「古物商の許可」が必要になる場合があるということです。

「古物」とは

古物営業法

(定義)

第二条 この法律において「古物」とは、一度使用された物品・・・

2 この法律において「古物営業」とは、次に掲げる営業をいう。

一 古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの

古物営業法施行規則

(古物の区分)

第二条 法第五条第一項第三号の国家公安委員会規則で定める区分は、次のとおりとする。

一 美術品類(書画、彫刻、工芸品等)

二 衣類(和服類、洋服類、その他の衣料品)

三 時計・宝飾品類(時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等)

四 自動車(その部分品を含む。)

上記により、一度使用された自動車が対象となるということは理解できるはずです。

では、上記の「古物を売買や交換」に該当しないのでしょうか。一見、該当しないように読めてしまうのですが、「交換」に該当してしまうのです。

つまり、中古車等を購入しレンタカーとして使用する場合は、古物商の許可が必要になってくるのです。

それぞれのケースで判断してみましょう

新車

新車の場合は、「一度使用された」に該当しないため、新車のみをレンタカーで使用する場合は、古物商の許可は不要です。

新古車

展示品等が該当しますが、一度市場に出てしまったものは、たとえ未使用の新品であったとしても「古物」という扱いになってしまいます。

自己で使用するために購入した中古車をその後にレンタカーとして使用

この場合は、該当しません。しかし、実際に自己所有として使用していたのであれば問題ないのですが、購入してから未使用の場合は、「自己で使用するために購入した」という証明が難しくなります。このようなケースでは古物商の許可を取得する方が無難であると言えるでしょう。

罰則

古物商の無許可営業の場合、古物営業法31条により「三年以下の懲役又は百万円以下の罰金」とされております。

新車だけでレンタカー事業を始めようとお考えの方以外は、古物商の許可を合わせて取得することをお勧めいたします。

レンタカーの外国人への貸与

新型コロナウィルスの影響も少なくなってきており、今後はインバウンド需要の回復が見込まれ、外国人観光客に対する貸与も増加していくと予想されます。

必要な免許

  • 日本の運転免許証
  • 国際運転免許証(ジュネーブ条約加盟国発行の国際運転免許証が必要になります。有効期間は、発行から1年間かつ日本への入国日から1年間となります。)

※中国は、ジュネーブ条約非加盟国です。

  • 外国の運転免許証(スイス、ドイツ、フランス、ベルギー、モナコ、台湾の免許証。有効期間は、外国運転免許証の有効期間内であること、かつ、日本への入国日から1年間となります。)

なお、政令で定める者の翻訳文が必要になります。政令で定める者とは以下のとおりです。

  • その国の在日の大使館、領事館等
  • 台湾日本関係協会、ドイツ自動車連盟
  • JAF、ジップラス(株)

国際運転免許証および外国の運転免許証については「3か月ルール」があります。

住民基本台帳に記録されている方(中長期滞在の外国人等)が、出国の確認又は再入国の許可を受けて日本から出国し、3か月未満の滞在中に新たな国際運転免許証を取得した後、再び上陸した場合は、当該上陸(帰国)の日は国際運転免許証の運転可能期間の起算日にならないので日本で運転はできません。

住民基本台帳に記録されている方(中長期滞在の外国人等)が、出国の確認又は再入国の許可を受けて日本を出国し、3か月以上の滞在中に新たな国際運転免許証を取得した後、再び上陸した場合は、当該上陸(帰国)の日が国際運転免許証の運転可能期間の起算日になります。

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