会社を経営している以上、従業員の入退社はつきものです。
今回は“取締役”の方が退職されるとの事で、とある運送業(一般貨物自動車運送事業)を営む会社様よりご相談をいただきました。様々な手続きが必要になるのは予測できると思いますが、手続きだけではなく注意点もあります。
さて、事業を円滑に進める為にもどのようなことに気をつけたら良いのかご紹介いたします。
取締役の退職に伴う手続き
トラスト:お早めにご相談いただき誠にありがとうございます。取締役A様が退職なされるんですね。承知致しました。大まかな手続きとして
- 法務局へ役員の変更登記申請
- 運輸支局への役員変更届出
が必要となります。
1は司法書士、2は行政書士業務となりますが、弊所ではどちらもまとめてお手続き可能ですのでご安心ください。
お客様:いつもありがとうございます。何も分からないので、まとめてお願いします。
そういえば、運送業の新規許可申請の際、取締役Aに法令試験を受験してもらったんですが、別の役員が受験し直さなきゃ駄目でしょうか。
トラスト:大丈夫です問題ありませんよ。法令試験は、“許認可を取得するための条件”になります。許認可を取得した後に再度受験頂く必要はないのでご安心ください。
運行管理者の不在に注意
トラスト:ですが、別の問題が出来ます。取締役A様は【運行管理者】として在籍されていらっしゃったと思うのですが……
トラスト:運送業を営む上で、輸送の安全確保するために最も重要な役割を担うのが【運行管理者】になります。取締役Aが退職されるとなると、この【運行管理者】が不在となってしまうのですが、後任のご予定はありますか?
トラスト:息子さんが実務経験1年以上あるのであれば、【運行管理者】の資格を取得された方が宜しいと思います。勿論、1人である必要はなく、むしろ複数名いた方が後々の事を考えてお勧めですので、社長も一緒にいかがでしょうか。
トラスト:【運行管理者】が不在(未選任)になってすぐに罰則の通知が来るわけではありませんが、【運行管理者】不在の状態が最長1ヶ月を超えると、処分基準に抵触してしまい、「30日の営業停止」となります。
トラスト:補助者はあくまでも補助者であり、運行管理者の代理業務を単独で行うことはできません。
【運行管理者】には、点呼、日報管理、ドライバーの健康管理など様々な業務を行わなくてはならない決まりがあります。
その中でも点呼は補助者でも単独で行うことが可能ですが、点呼以外の業務は【運行管理者】が行うか、その管理のもと補助者が行う必要があります。
したがって、【運行管理者】がいないと補助者はドライバーの健康管理などを行うことができず、安全な運行を行うための業務ができていないとして罰則の対象になってしまうという事になります。
お客様:でも、そんな直ぐに後任者を手配するのは難しいです。資格取得予定だから大丈夫、みたいな、抜け道みたいなものはないのでしょうか。
最初から複数名いれば一番いいんでしょうけど、中々難しいと思います。
トラスト:こればかりはどうにもなりません。もしもの時のために、事業所には【運行管理者】の資格をお持ちの方が2人以上いる体制を整えておくのがベストです。
トラスト:その通りです。運行管理者試験を受験するには、「1年以上の実務経験がある」もしくは「基礎講習を修了している」の2つのうちのいずれかを満たしていれば、誰でも受験可能になります。ですので、ドライバーさんや経理担当者の方でも問題ありません。
今回、早めにご相談頂けたのが幸いです。取締役A様が退職されるまで、まだ少しお時間があります。是非【運行管理者】を取得しましょう!